誌面の具体的なデザイン制作以前の「問題解決についてのプロセス」を明記してみます。

いわゆる誌面デザイン制作は、ある程度内容が固まった段階から制作を開始しないと、「あ〜これは要らなかった」「こうじゃないんだよね〜」などということが、【デザイン】ではないあらゆる場面で発生してしまいます。

 

これをなるべく避けるための方法が、事前の企画なのですが、結構これをおざなりにしてデザインの作業に入ってしまうことが多いのです。なぜか? それは、デザインという「画」を見ると皆さん「出来ている・進んでいる」という感じがしてしまうからです。そんな経験はありませんか? これが実は大きな落とし穴であり、実際に本当に必要なことに対する作成・改善ということについては、全く進んでいないのです。「画」が出来た段階から、やっと皆さん内容について吟味を始めます。その段階から「ここはいらないよね〜」「こんな内容が足りない」などの声をもらいますが、これでは、クライアント、制作側共に【再検討=費用と時間の無駄】が発生してしまいます。


これを避けるための話し合いが【打合せ】です。


 

【いただいていた問題点】

  • 香川件直島町公式のガイドマップは存在していたが、スポット情報・アクセス情報・時刻表など、さまざまな情報が混在していたため解読がやや難しいものであった。
  • 一番の玄関口である「宮ノ浦港」から、美術館のあるベネッセハウスエリアへ行くための移動方法(バスの乗り換えやその時間など)の理解がやや難しいものであった。
  • 直島の知名度の向上とともに増加する店舗情報などの追加・更新などの問題。
  • 直島全体をカバーする役目の全体マップと見所のあるエリアを紹介する詳細マップの連携。
  • 地図内における「アートサイト・美術館・ランドマーク」「飲食・宿泊・アクティビティスポット」「バス路線」に関する情報到達へののユーザビリティ。
    など。

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以上の内容について、観光協会様と監修をしていただいた福武財団の担当者様と一緒に打合せを行い、これまでの冊子の制作方針や情報の掲載の基準などをうかがいました。以前の冊子で起こっていた問題を一言で表すのであれば「全ての情報は旅行者のための有益情報であるので、できるだけ目立つように掲載していきたい」ということです。全てを最前面に出していくことは実質的に不可能なため、情報の優先順位をつけ、その優先順位にそった情報紹介をすることで解決を見いだしました。

「重要度の高い情報は、見つけやすく。重要度の高くない情報は、読み進めていくことで見つけられる。」

弊社ではこれを情報の階層化と勝手に名付けていますが、「大きな情報から小さな情報への移り変わり」として、まるで絵画を遠くで見ている状態で得られる美しさと、近づくことで見えてくる筆のタッチなどの繊細さ。これは、遠近の両方を見ないと得られない情報です。至極当たり前のことですが、この情報の重要度の判別については、ご担当者の方々にとって、最も判断の難しいところでもあります。沢山のお仕事に関わらせていただいていると気づくのですが、皆様、伝える側に回ると、教えてあげたい情報が沢山あるんですね。その気持ちが、「すべてを教えてあげたい!」という状態に陥ってしまうようです。


 

【制作するための方向性:機能面】

「不特定多数の旅行者」がマップを利用すると考え、詳細な説明が無くても利用できるように考慮した。
具体的には、フェリーでの玄関口である「宮ノ浦港」から、バス路線でベネッセハウスミュージアム方向へ行く際の交通説明、近隣のアートサイトの島々への航路アクセスなど。
地図ページでは、島内ミュージアム施設をランドマークとしたスポット(飲食店・宿泊場所など)の位置関係の把握ができるようにデザインした。以前の誌面では、スポット(飲食店・宿泊場所など)情報と地図ページへのリンクがナンバリング(例:A店=①、B店=②など 画像上)で行われていた方式を各地図へのマトリクス指示方式(例:A店=A−1、B店=E−4など 画像下)に変更した。この方式により、追加・削除のスポットが発生した際もナンバーの変更を行うこと無く修正が可能になった。

IMG_0056_a▲以前のマップ(サンプル)

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【制作するための方向性:誌面デザイン面】

「直島」がアートを体験できる島ではあるが、マップとしては華美な装飾はは必要ないと考え、なるべくプレーン&クリーンなものを目指した。結果、店舗やミュージアムファシリティが増加した際も基本フォーマットに添って増やしていくことで、観光協会側でも容易に更新・追加が可能になった。

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【具体的なデザイン制作へ】

機能性やデザインの大まかな方向性が決定してきたので、実作業としてのデザイン制作へと向かう。考えられる方向性を探るためのスケッチを基に、実現したい内容と合致させていく。スケッチの段階で実現度が高くない場合は、おおよそ実際に制作してみても矛盾点などが発生することが多いので、この段階で可能性を突き詰めます。

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サムネールスケッチで様々な方向性を探ります。

 

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目指そうとする方向性で実現出来るカタチ見いだして実際にデザインとして起こしていきます。

 

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上画像は島内バス停の表示方法についての落書き。下画像は実際のデザイン。

 

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裏表紙にあたる表4でのお土産に関するページ。左がスケッチ、右がカンプ。

 

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頁数の関係で実現しなかった、直島を紹介するページのデザイン案。

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何冊もモックアップ冊子を作り実際の出来上がりの感じをつかみます。
一番左が完成(印刷)した冊子。右の2つは、完成に近い時期に作成したモックアップ。

 


 

今回のデザインの草案と全てのスケッチ、デザインは、弊社のデザイナー若狭望が担当しました。

■企画/VISION IMAGE FACTORY, Inc.
■アートディレクション/藤若典弘(VIF inc.)
■デザイン&マップデザイン/古城未菜、若狭望、藤若典弘(VIF inc.)
■進行ディレクション/株式会社ビザビプロモーション
■監修/公益財団法人 福武財団
■クライアント/NPO法人 直島町観光協会

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